私は10年前に妻に先立たたれてから長女夫婦の配慮で、二世帯住宅にして一緒に住んでます。預貯金だけでなく、賃貸物件もあり、賃貸物件については私が子孫のためにと大切に築いてきた財産です。
しかし、最近、物忘れが多くなっており、将来に不安を感じてきました。もし、私が認知症になってしまった時に、見ず知らずの方に色々なことを決められるより、信用できる長女夫婦に私の身の周りの世話や財産管理をしてもらいたいと思ってます。
どのような手立てがあるでしょうか?
★認知症になった場合は、裁判所に申立てを行い「成年後見制度」を活用することも可能ですが、法律家などの専門家など見ず知らずの第三者が家庭裁判所の監督下のもと、財産を管理する可能性が高くなります。
★ご自分で判断できるうちに、信頼できるご親族などを後見受任者に選任し、任意後見契約を締結し、本人の判断能力が低下した時に身上保護や財産管理を任せる「任意後見制度」という仕組みがあります。
■内容
・「任意後見制度」とはご自身の判断能力のある段階で、本人の判断能力が低下した時に、信頼できる方に身の回りのことや財産管理を任せるための契約形態です。
・「成年後見制度」(法定)との違いは、「成年後見制度」は家庭裁判所が成年後見人を選任しますが、「任意後見制度」は委任者と受任者の二者間の契約内容が考慮されるので、ご自分の選任したい方が後見人になる可能性が高いです。
但し、「任意後見契約」を締結した場合も、家庭裁判所から選任された後見監督人が付くので、家庭裁判所の監督下に置かれます。
民事(家族)信託と異なり資産活用の柔軟性は失われますが、家庭裁判所の監督下に置かれる分、法的な担保がされた上で適正に財産管理などが行われる利点があります。
■任意後見の種類
・「将来型」「即効型」「移行型」の3種類あります。
任意後見契約締結後、どのタイミングで効果を生じさせるかの違いですが、「移行型」の場合、「財産管理の委任契約」等と組み合わせます。
■効果
・任意後見が開始されると、任意後見人が任意後見契約の代理権目録で定めた任意後見事務(財産管理・保全、療養看護等)を行います。
■任意後見受任者の選任
・ご自身に判断能力があるうちに信頼できる親族などを任意後見受任者を選任します。
■契約内容の決定
・任意後見契約書に盛り込む内容とともに、判断能力低下後に何を任せるかなどの範囲を定める代理権目録も作成します。
■任意後見契約公正証書の作成
・公証役場に行って、任意後見契約の公正証書化を行います。
・公正証書化した後、公証役場の公証人が法務局に任意後見契約の登記を嘱託し、登記されます。
■家庭裁判所への申立
・本人の判断能力が低下した時点で、本人、後見受任者、配偶者、四親等内の親族が家庭裁判所へ後見人選任の申立を行います。
・家庭裁判所が選任をすると、任意後見契約の効力が生じ、任意後見事務が開始されます。
★一般の方では分かりづらいことも多く御座います。
ご検討の方はお気軽にご相談頂ければと存じます。